社長立替の定食屋の領収書がいっぱい出てきます。お昼は社員やバイトのだれかと食事に行っています。
「A君はこういう事で悩んでるんだけど、何かしてあげられないかな、」といった相談を受けたりします。
「思いもかけずB君からこんな提案をもらった、」とうれしそうに話してくれることもあります。
実はその会社には社是、社訓がありません。でも、何かがあるとみんなが結束します。
お昼を食べながら社長自身も実はこんなことをしたいんだけど何かいい知恵はないか、今年このくらいの売上を目標にしたいんだ、これをメインに売りたい、こんな商品を開発をしてるんだ、と常に社員に相談を持ちかけ、どんな会社を目指しているのかを語ってます。
2~30人の会社ならそれでいいと感じました。
一対一でお話ができたらその方が社長の思いをどう受け止めるくれているのか社員さんの様子もダイレクトに伝わってきます。
みんなとお昼が食べられなくなって「うちのモットーは!」と社員全員の前で話さなければならないくらいに社員が増えた時には、一対一でお話をしていた頃の社員さんがその補完をしてくれるはずです。
そんな会社でも社長と社員さん全員の思いが一つになる、ということは難しいことなのです。
その会社でも「こんなボロ会社」、と悪態をついて遅刻早退を繰り返す社員がいました。その彼が他の社員を扇動しようと画策したのですが、逆に他の社員さんたちが何とか彼を説得しようと頑張ってくれました。
結局、彼は辞めてしまいましたが、他の社員が彼を説得しようと動いてくれたのは社長が日頃から社員さんとお昼を食べていた成果だと思います。
お話をしてもわかろうとしない社員は必ずいます。どうしてもうまくいかないこともあると覚悟しておくことです。
そうなっても日頃から社長に相談され、そして相談している社員さんが強い味方になってくれます。
何かを始めようとすると、社員の親戚、知人、そのまた知人といった情報が総動員されます。会社の中に必要とする分野の人がいなくてもいつの間にかそういう人がプロジェクトに参加してくれています。
社長がネットで話している相手は社員さんが紹介してくれたオーストリアの友人でした。
立派な社是、社訓があっても社員に浸透していなければかざりです。
人材はネットで探す、もわかりますが、それではお金だけの付き合いになりかねません。
会社にお伺いすると全員が起立して「いらっしゃいませ!」と迎えてくれる会社もありますが、何となく違和感を覚えるのはそれが自ら率先してではなく、そう言われているから、が見え見えだからです。そういう会社の社長は社員とお昼に行くことはありません。社員の前で訓示はたれても社員の話は聞きません。
これでは打たれ弱いです。儲からないのは働かない社員のせいだ、不況のせいだ、となってしまいます。
自分のせいだ、は絶対出てきません。